2006年05月30日
日本対ドイツ
ドイツワールドカップに向けて日本は
開催地ドイツで、開催国であるドイツと
親善試合を行った。
この試合いかんによって、ワールドカップの
決勝トーナメントに進出出来るかどうかが決まる
非常に大事な試合である。
両チーム共にフルメンバーで試合開始から激戦を繰り広げる。
序盤からドイツの激しい攻めにも
日本は落ち着いてしっかりと守っており、安心感がある。
この試合日本は3バックで試合に臨んでおり
特に右サイドの加地のディフェンスが効果的なようである。
しかし苦しむのは身長差である。
ドイツは平均身長が187cm、それに対して日本は178cm。
この身長差にはさすがに苦しんでいる。
その上、敵地での試合。
判定にも非常に奇妙な点がある。
相手DFが柳沢のユニフォームを引っ張り、ユニフォームを
大きく破った場面で、両者にイエローカードを出されたのである。
映像では明らかに相手が引っ張ってユニフォームを破ったのだが
両者にイエローとはおかしい話である。
むしろそれならどちらにも出さない方がまだ理解できる。
しかしそれをバネに、直後に柳沢の強力な突破もあり
日本は前半戦の中盤から少しずつ良い攻めを見せる。
相手のラフプレイにも負けていないが怖いのはサイドからの
バラックの突破やセンタリング、シュートである。
カウンターも含め、何度もこのバラックを起点に危ない場面が作られる。
問題は中盤にあるかもしれない。
と言うのも、バックと中盤の境目が薄く、ディフェンス時に一緒になってしまい
そこを相手に狙われる場面が多い。
3バックとボランチの関係を確認し直さないと危ない可能性がある。
そんな前半35分に今日調子の良かった加地が
相手との交錯により足をひねってしまった。
見ていても腹が立つのは相手のあまりに酷いラフプレイ。
いくらワールドカップとは言え、少々やり過ぎである。
しかも審判はイエローも出さない。
これではあまりに失礼極まりない判定である。
加地はそのまま退場し、代わりに駒野が入る。
そのまま両チーム共に一進一退の攻防を続けるが
試合は動かず、終了間際ドイツに決定的な場面があったが
この試合で非常に落ち着いている守護神・川口が
素晴らしい反応でセーブし、そして前半終了。
ボール支配率はドイツに軍配が上がったが
日本も非常に良い場面の多い試合内容だった。
前半終了直後、ベンチへ戻る宮本と中田英が
非常に熱の入った話し合いをしていたのだが
恐らくボランチと3バックとの間の関係や
ディフェンスのポイントで意見をぶつけているようで
後半が楽しみである。
迎えた後半、日本は立ち上がりから良い攻めを見せる。
加地はディフェンスで目立っていたが
代わりに入った駒野は開始からオフェンスで魅せている。
是非ディフェンスでも目立って欲しいところである。
しかしどうも加地のようにディフェンスで目立つ場面が少ないと
感じていたが、逆で、駒野が攻めているために
相手が下がらざるを得なくなり、それが日本のディフェンスを
支えているようである。
加地とは逆の状態だと言えるだろう。
だが、本来は加地も上がっていくタイプの選手なだけに
それが見られずに下がってしまったのは残念である。
そんな後半11分についに試合が動いた。
中村の素晴らしいドリブルから、正確に柳沢にパスを通し
柳沢はそこから相手の裏をかいて走っている高原に送り
それを高原がスピードに乗りつつも落ち着いてシュート。
これが綺麗に決まり、前回のワールドカップで準優勝した
ドイツを相手に1-0とリードを奪う。
前回日本がドイツと戦ったときは0-3で大敗しており
その雪辱が晴らせるかも知れない。
また、このドイツで活躍する高原が決めたと言うのも
何とも嬉しい限りである。
この直後にドイツは非常にスピードのある選手を入れ
反撃に転じる構えを見せる。
しかし、しかし、そのドイツをあざ笑うかのように
後半20分に驚愕のプレイである。
サイドからのセンタリングを高原が受け
そのまま、フェイントで巨大な相手DF2人を抜き去り
相手ゴールへ矢のようなシュート。
これが決まってこの試合2ゴール目。
これで日本は2-0とリードを広げる。
このプレイの直後に、ドイツは攻めのために入れた
スピードのある選手がシュミレーションでイエローをもらうなど
ドイツはもう最悪の気分だろう。
ますますラフになるドイツのプレーに
日本代表のケガが心配である。
加地の代わりに入った駒野もユニフォームの襟元が
破れており、相手のダーティーなプレイが窺える。
日本の選手がドリブルをすれば必ずファウルで止めるという
ドイツのプレーも、ここまで来るともう哀れみを感じてしまう。
しかしさすがは前大会準優勝のドイツ。
遠目からしっかりと止めたはずだったが
そのフリーキックからクローゼの恐ろしい技術で
ついに押し込まれてしまい2-1とされてしまう。
やはり強豪国なだけに、油断していなくても
怖いときは怖い。
問題はここからで、2-1と追いついているドイツは
一気に勢いづいてしまうわけで
ここをしっかり押さえなければ逆に負けてしまうだろう。
そんな中、後半32分に日本はこの試合大活躍で
疲れの見える高原に代えて大黒を投入する。
しかし、この勢いづいたドイツを止められなかった。
大黒を投入した直後のセットプレイで
フリーキックからシュバインシュタイガーにヘッドで決められ
ついに2-2と追いつかれてしまう。
やはり長身のドイツ相手に、セットプレイでは
しっかりとケアしないと、良いようにやられてしまう。
ここまで非常に良いディフェンスだっただけに
難しい課題となりそうである。
その直後に柳沢に代えて玉田を投入。
まだ試合は振り出しに戻っただけ。
どうにかここから勢いを取り戻し
日本にはもう一点追加して欲しい場面である。
37分に中田英寿からの素晴らしいキラーパスがあったが
大黒のシュートは決まらず、試合はそのまま流れていく。
40分にも中村からのセンタリングを中田が折り返し
決定的なチャンスを作るも、またも大黒が競ったが
相手GKに押さえられてしまう。
そして試合は前半のような一進一退の攻防が続き
ついにロスタイムに突入する。
ロスタイムに入り中沢とバラックの衝突があり
その直後、大黒が渾身の突破を図りシュートを放つが
GKの正面となり、試合は終了。
終わってみて考えれば、同点で良かったのかも知れない。
2-0で勝ってしまうと、逆に変な勢いがついてしまい
逆転されて例えば2-3のような結果となれば
今度は勢いが挫かれてしまう。
同点なら前大会準優勝のドイツに対して
非常に良い部分が多く、2点をもぎ取った事を考えれば
これがワールドカップに向けてという事を前提にするなら
個人的には良かったのではないかと思われる。
相手に得点を許したのはどちらもフリーキックから
ドイツ選手の身長と身体能力の高さを生かしたプレイを
押さえきれなかった事が原因であり
課題もしっかりと見えたと思われる。
最高の形を考えるならランキングでは格下の
最後の親善試合である次のマルタ戦で勝利し
それをバネに良い勢いをつけてワールドカップに乗り込んで欲しい。
あと、気になるのは加地のケガだが、こちらは無事を祈るばかりである。
逆にケガの経過が心配された高原と柳沢は
完全復帰したようで、安心といえるだろう。
次のマルタ戦、大いに期待したい。
ガンバレ日本。